アキアカネと言う名前から秋に出てくる赤トンボ、という印象を持ってしまいます。しかし実はアキアカネが出てくるのは6月末から7月初めにかけて、ちょうど梅雨の盛りの頃なのです。アキアカネに限らず、アカネ属に属するほとんどの種類の赤トンボもこの時期に成虫になります。アキアカネの場合は、平地や丘陵地にある田んぼや浅い池、河川敷の水たまり、そのような水辺のない都会では学校の水泳プールで幼虫(ヤゴ)が育ちます。成虫になったアキアカネはオレンジ色をしていて、体も軟らかく弱々しい感じがします。しかし、意外と飛ぶ力は強く、その後まもなく山を目指して飛び立ちます。どんよりと曇った風のない日が山を目指すのに都合がよいのか、そのような日に空を見上げていると、次から次へと一定方向を飛ぶアキアカネの姿が見られることがあります。梅雨があけ、真夏の日が照りつける頃にはアキアカネは山に移動してしまうため、平地で見かけることはありません。アキアカネが暑い夏を過ごすのは、標高が1000mを越す高い山なのです。
 夏に高い山へ行くとオレンジ色をしたトンボがたくさん見られますが、それがアキアネです。アキアカネが夏を高い山で過ごすのは、避暑だというのが定説になっていますが、本当のところはよく分っていません。夏休みが終わり、暑さがやわらぐ9月初めから中頃になると、アキアカネは次から次へと山から里へと降りてきます。この時は大集団になるこ
とがあり、その様子が新聞などで報じられることがあります。
  ところで、トンボは肉食性で、生きている小動物を捉えて食べます。アキアカネの餌はハエやカ、稲の害虫のウンカやヨコバイなどの小さな虫で、1日に11〜12mgの餌を食べるということです。その量は自分の体重の1割を超えていますので、アキアカネは大変な大飯ぐらいということになります。たくさん飛ぶためにはたくさんエサを食べて体力をつける必要があるのでしょう。
  平地に戻って来る頃のアキアカネは体ががっしりして、オスのしっぽは真っ赤で赤トンボらしくなっています。平地に戻ったアキアカネの仕事は子孫を残すことです。


エサを食べるアキアカネ(加納)



高原にいるアキアカネ(新井)


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